イギリス最古の自動車メーカーのひとつ、デイムラーは、エドワード7世(現エリザベスII世女王の曽祖父)が指名して以来、代々英王室の御料車に採用されるなど、ロールス・ロイスにも匹敵する超高級車です。これにならい各国の王室はこぞってデイムラーを御料車に採用するようになり、日本の皇室も1912年、初の御料車にはデイムラーを採用しています。
第二次世界大戦後、大量生産による大衆車に世の趨勢が傾くにつれ、手作りによる高級車製造を専らの生業とするメーカーには冬の時代が到来します。デイムラーもその例外にもれず、1960年にデイムラーの親会社BSAはデイムラーをジャガーに売却します。
しかし、ジャガーはデイムラーのブランド名を廃止するという施策はとらず、デイムラーがそれまで製造・販売していたマジェスティックやSP250などの車種もすぐに廃止することはなかったようです。
それ以降、デイムラーはジャガーの各車種の製造も請け負うようになり、ジャガーのバッジエンジニアリングモデルとして生き残ることになります。現在もジャガーのディーラーで新車を購入することができます。
今回ご紹介する車両はデイムラー・エンプレス・サルーン(タイプDF30b)というモデルです。オーナーさんは昨年8月に購入しましたが・・・。オーナーさん、その他にロールスロイス、トライアンフなど数台お持ちで、購入したことはいいのですが車庫事情と他のいろいろな事情で、なくなく売却となりました。
ボデーはアルミ製です。当時のコーチビルダーであるHOOPER社で製作・架装されてます。一部塗装の割れ、塗装のムラが見られます。リヤバンパーの両サイドに錆の補修跡が見られます。全体的にはきれいな状態です。観音開きのドアもこの車の特徴となります。燃料タンクキャップは真鍮製です。
内装は豪華です。ウッドを贅沢に使用、シートも本皮製です。リヤ席にはピクニックテーブルが装備されていました。リヤシートの吊りひもは絹製です。
ウッドはフロントパネルに細かな割れがありますが、おおむね良好です。その他のウッドはきれいな状態を保っています。
室内の左右のセンタートリムにはアンティークのクリスタルガラスの花瓶が設けてあります。
現在、時計、ラジオ(イギリス製)、リヤウインドー用電動カーテンが不動です。また、ウインカーレバーが故障していますので運転席側にトルグスイッチを追加し、ウインカー操作ができるようにしてあります。
エンジンは水冷直列6気筒OHVエンジンを搭載、ギヤボックスは4速マニュアルです。このギヤボックスはプレセレクターというギヤボックスでギヤチェンジを先に行い、後からクラッチを踏むことにより、ギヤが変速されます。変わっていますね。
機関は良好でした。リヤシートに座り、しばらく乗せていただきましたが特に気になるようなことはありませんでした。乗せていただいている間は非常にリッチな気分になり、ひとときでしたがセレブの気持ちを味わうことができました。
(オーナーさん、ありがとうございました)
ちなみにエンプレスとは皇后という意味があります。ぜひ、奥様を後席に乗せて運転を・・・喜んでいただけると思います(かな?)。
イギリスには「Daimler&Lachester Owner's CLUB」という由緒ある同好の士のクラブもあり ここで一部部品の手配も可能なようです。
日本国内ではなかなか見かけることのない個体です。旧車走行会には目立つ存在になると思います。
車は愛知県にあります。
個人売買の為、消費税などかかりません。